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エンジェルサポート2015 「法律と契約/暮らしとお金」

12月20日、エンジェルサポート自立支援プログラムの今年度第4回目のプログラムを実施しました。

この日は午前に法律と契約について、午後に暮らしとお金についての学びの機会としました。どれも生活をするうえで大切な知識ですが、12月になり、参加者の皆さんは春からの進路や生活の様子が具体的になってきて、現実的に考えることができたようです。

午前のセッションでは、毎年ご支援をいただいている青年司法書士会の皆さんから、法律と契約についてクイズ形式で考える講習を行っていただきました。若者によくある契約トラブルの場面を見ながらグループに分かれて相談し、自分ならどう行動するのか考えていきました。どの問題も多くの考え方ができて、グループ内でも議論が行われていました。

実際に悪質商法の被害にあった事例を見ながら解説をすると、驚きの声が上がっていました。現実に起こっていることは高校生の皆さんの予想を超えていたようです。

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午後からは暮らしとお金についての講習を行いました。ご担当いただいたアクセンチュア株式会社の皆様は金融や会計の専門家として、若者の生活の中での選択とお金の関係について、例をあげながら解説していきました。

さらにグループで相談しながら生活費の費目と金額を書き出して、家計のイメージをつかむワークを行いました。何度も支出を削り計算し直しても赤字になってしまいアドバイスを受けながら相談をしているグループや、予想以上に学費がかかり「こんなに大変なら進学しないほうがいいのでは」と言い出すグループもありました。大変ですが諦めず頑張ってほしいと応援しました。

終了後のアンケートでは、「自分の持っている法律の知識が合っていることの安心を得た」というコメントがある一方で、「契約はわからないことが多かった」「年金や保険が難しい」「収入と支出について、思った以上に限られた枠の中でやるのは大変だなとあらためて感じた」と、難しい内容だったとの声が多くありました。一日の講習で何もかもを習得することは難しいですが、これから考えていくためのきっかけにしてほしいと思います。

夏から始まった今年度の自立支援プログラムも次回で最終回となります。参加者の皆さんの成長する姿を最後まで見守っていきたいと思います。

身だしなみ講習会を実施しました

10月31日に、社会人になる前の身だしなみを学ぶ「資生堂エンジェルラウンジ身だしなみ講習会」を実施しました。

今回も資生堂、AOKI、両社の皆様に講師をご担当いただき、児童養護施設、自立援助ホーム、ファミリーホームから17名が参加し、講習会を行ないました。
午前は資生堂による女子はメーク講習、男子はスキンケア・ヘアケアの講習を行ない、メークや髪型について体験しました。実際に女子はそれぞれ自分の顔立ちの特徴をつかみながら指導を受けて社会人らしい大人のメークを完成させ、男子は洗顔や髭そり、ヘアスタイルなどの身だしなみの心得を実際に体験しながら学びました。

午後はAOKIのスーツ講座として、男女それぞれ参加者が実際にスーツを着てモデルとなって、それを見ながら選び方、着こなし方、マナーを学ぶことができました。

参加者からの感想には、「メイクの仕方が分かりやすかった」「あまり化粧をしないので学ぶことが多かった」「親身になってアドバイスをもらった」といったコメントがありました。また初めて会う参加者同士でもお互いに道具の貸し借りや出来栄えを見たりと、自然と話をすることができていくようになっていました。安心した雰囲気のなかで自然と前向きに取り組むことができて、より効果的な学びの場になっていたようでした。

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児童福祉施設職員ワークショップ

10月20日・21日の二日間、パレスホテル立川にてテレビ朝日福祉文化事業団の主催による、「児童福祉施設職員のためのワークショップ」が実施されました。今回もエンジェルサポートセンターは事務局を担当させていただきました。

サンフランシスコ州立大学名誉教授の田中万里子先生を講師に迎え、青森から沖縄まで全国の児童養護施設や保育園から職員27名が、児童の心理や気持ちの理解を深め、効果的なコミュニケーションについて研修を行いました。今回は特に「子どもの心に寄り添う」をテーマとして、子どもの行動や心についての理解を深め、実践的な技術を学び、事例を読みながら子どもと自分の気持ちに寄り添うことを体験し、共感的に関わることの大切さを学ぶ機会となりました。

エンジェルサポート2015 「幸せワークショップ」

10月4日、エンジェルサポート自立支援プログラムの今年度第3回目のプログラムを実施しました。

今回は「ハッピーワークショップ」として、幸福感を高めるワークショップを実施しました。幸せを感じられるようにすることによって自己回復力を高め、挫けない心、立ち直る力、レジリエンスを学ぶことを目的に行いました。

自分自身の内面に向き合ったり、グループで発表を行ったり、と難しい内容もありましたが、参加者の皆さんは最後まで熱心に取り組みました。多くのことを学ぶ機会となったようです。

終了後のコメントでは

  • 班のメンバーとさらに仲良くなることができた
  • 過去の出来事を考えなおすことができた
  • ポジティブな思考は今後の人生でかなり重要な事だと強く頭に焼き付くような話だった

など、多くの肯定的なコメントがありました。

解散後、進路や生活についての個別相談会を希望者に行ないました。遅くまで残ってそれぞれスタッフと話をしている様子が見られました。参加者同士でもお互いに多くの話をすることができることで様々に影響し合い、それぞれの自立生活に向けて悩みながらも考えることができているようです。

また、この日はエンジェル保護者会として、プログラム参加児童の施設職員の方と懇談会を行ないました。プログラムでの様子を伝え、施設での様子をうかがい、その児童の様子をお互いに知ることで、より効果的な自立に向けての支援を行えるようにすることを目的に実施しましたが、10名と多くのご参加をいただいたことでよい会となりました。

次回のプログラムは12月に行ない、「法律と契約」「金銭管理」について学びます。

エンジェルサポート2015 「食事とは」

9月20日、今年度のエンジェルサポート自立支援プログラムの第二回セッション「食事とは」を実施しました。

プログラムに参加している高校生たちは来春に児童養護施設を退所した後、それぞれ仕事をしながら、大学等で勉強をしながら、ひとり暮らしをしていくことを想定しています。そんななか、施設によっては食事は調理されたものを食べていたり、自分たちで調理をしたりと、さまざまです。食事は毎日のことで、かつ生活の基本だとから「食べること=生きること」をテーマにして、調理実習を行ないました。

講師の指導の元、グループに分かれてメニューを決めます。今回のテーマは「和食の昼食」として、あらかじめ会場に用意した野菜、肉、卵…などの材料を見ながらグループごとに予算の範囲内で「買い物」をし、それぞれ料理をしていきます。実際の生活の練習になるよう、スマートフォンでレシピを検索して分量を決めたり食費を計算しながら進めていきます。

普段から日常的に料理をしている人だけのAグループから、学校の授業以外では料理をしていない人たちのDグループまで、レベルの近い同士で4つに分かれました。Aグループはピーマンの肉詰め、Bグループはカレーライス、Cグループは親子丼、Dグループは鶏の唐揚げとメニューが決定しました。それぞれ、材料にひき肉がないので包丁で叩いてひき肉にしたり、果物の飾り切りをしたり、余った野菜で副菜を追加したり、炊飯器がなくても食事ができるよう鍋でご飯を炊いたり、料理に工夫が見られました。

 

制限時間どおりにすべてのチームが完成させることができ、またおいしくいただくことができました。

 

料理をしながら洗い物や片付けを分担して鍋も調理台もきれいにみがいて終えたのは施設の生活で毎日行っているからでしょうし、バランスのよい献立を考えることができたのは施設の栄養士さんが立てた献立で毎日の食事をしていることによるものでしょう。料理をほとんどしてこなかった参加者のグループでも、おいしくて栄養バランスのいいメニューを時間内に完成させることができていました。一食を作っただけで料理について準備は万全、というわけにいきませんが、これを機会に毎日の積み重ねをしていって自信と強みにしてもらいたいと期待しています。

午後は講師からの話と、食費について考えました。自分たちの作った食事の費用を実際に計算してみて、どのグループも一人前で100円代~300円程度だと知り、驚いていました。コンビニや外食などと比較してどれだけ節約できるのかを実感したようです。

また、皆で一緒に料理を作って食べることが楽しい、とのコメントが多く見られました。講師からも、人のために料理をつくることの大切さが伝えられ、そのことについても皆で深く感じていた様子でした。これから進路や生活の変化が決まってくる時期になりますが、次回以降のプログラムでも互いに不安や気持ちの揺らぎを支えあっていってもらいたいと願います。

次回は10月に挫けない心、立ち直る力、レジリエンスについて体験的に学びます。