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経済的で健康的な毎日の料理

2014年の自立支援プログラムも3回目となりました。
11月9日に立川市柴崎学習館にて、「健康的な食生活」をテーマに調理実習を行いました。

今回のメニューはご飯、肉野菜炒め、なめこの味噌汁、オムレツ、杏仁豆腐、です。

卵を割ったこともない高校生が自分でオムレツを作ったり、飲食店でアルバイトをしているような料理に慣れている高校生には炊飯器ではなく鍋とガスでご飯を炊く経験をしてもらったり、料理をするのに慣れている人も、そうでない人も、それぞれが経験となるようグループ分けや役割分担を工夫して、取り組みました。

どのグループも美味しく上手に出来ていて、食事の席では仲良くなった参加者のなかでこれからの進路のことなど会話もはずみ、楽しい雰囲気の中で過ごすことができました。

片付けを終えてから、午後は食費について考える時間としました。この日の実際の材料費を元に、一人前の食事を作るのにかかる材料費を計算しました。そこから一日分、一ヶ月分の食費を計算していくことと、コンビニや外食などの自炊以外との比較を行いながら、食事にかかる費用と、自炊にかかる時間のバランスについて、皆で考える機会にしました。

この日のアンケートには、「下味のつけ方がわかった」「時間がどのくらいかかるのかがわかった」といった調理技術についてのコメントがありました。また、「一日あたりの食費がなにげに安かった」「お肉は高い」「スーパーやコンビニがとても高いのがわかった」という食費についてのコメントや、さらには「今までは調理に関心がなかったけれど今日の実習で自分の生活を見つめなおしたいと思う」「たまには手を抜いてもいいと知ることができてよかった」「一人で効率よくやるのは大変だとわかった」と、施設や里親家庭から離れて自分で生活を始めることを踏まえた学びについてのコメントがありました。

次回は12月に「若者の暮らしの経済」として大学院生の皆さんにお金や時間の使い方、人間関係、夢の実現など、語っていただきます。また司法書士の皆さんから契約や法律について学ぶ機会とします。

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ファイナンスパークで家計の体験学習

9月28日(日)にエンジェルサポート自立支援プログラムの今年度第二回プログラム「暮らしにかかるお金の使い方」を行いました。

エンジェルサポートセンターでは、公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本の協力を得て、同団体の運営する「ファイナンス・パーク」にてプログラムを受講しました。ここでは暮らしのために必要なお金について学ぶだけでなく、自ら選択し意思決定をして行動することを体験的に学ぶことができます。

参加者した児童の多くは高校卒業と同時に18歳で施設や里親家庭から離れて一人暮らしを始めます。仕事をしてお給料をもらいながら生活にかかるお金の管理をしていくことは、18歳ではとても難しいことです。
参加者たちは一日をかけてそれぞれ与えられた家族構成や年収などの設定を元に、食費や住居費、家族の衣料品などの家計の配分を考え、決定していました。

また今回は、里親家庭からの児童の自立を支援するNPO法人である、アン基金プロジェクトと、神奈川フォスターケアサポートプロジェクトの二団体が行う自立支援プログラムとの合同開催として行い、約50名の高校生が集まりました。「社会的養護からの自立のために学ぶという、同じ目的を持った自分と同じ境遇の仲間が50人もいる」ということは、近い将来に不安を抱える彼らにとって、とても勇気づけられることです。またお互いに自分のことを話すことで、プログラムの内容だけでは得られない体験ができる貴重な機会となっていました。

次回は11月に「健康的で経済的な食生活」として調理実習を行います。そろそろ卒業後の進路や方向性が決まってくる時期。子どもたちにとっても決断の機会が増えてくるころになります。

参加者の感想から
  • お金をどこにどのくらい使うのかが正確にわかりました。少し難しかったけど将来役に立つと思いました。
  • 一人暮らし、また結婚してからも、お金がものすごくかかっていることがわかりました。
  • 今まで保険や医療費をあまり大事だと思っていなかったので、勉強をして、家族のためにも自分のためにもなるのがよくわかった。
  • 住宅費や食費などの配分はそんなに難しくないだろうと思っていましたが、実際やってみてとても大変でした。時間ギリギリだったので生活設計している人はとてもすごいなと思いました。

自立支援プログラム2014

2014年度のエンジェルサポート自立支援プログラム(東京会場)が始まりました。

8月31日(日)に立川市のRISURUホールにて初回プログラムが行われ、児童養護施設と養育家庭(里親家庭)で生活する29名の高校生が、自立生活に向けての準備のために参加しました。このプログラムは2002年度に始まり、これまで毎年行われて今年度で13回目の開催となります。

今日から2015年3月まで全5回のセッションを重ね、それぞれの人生の備えとして学び、大きく成長していくための機会にしてもらいたいと思っています。

初回プログラムでは、年間プログラムについてのオリエンテーション、初めて会ったばかりの人との緊張を和らげるウォーミングアップを行なってから、午前中は臨床心理士の榊原明美講師による、コミュニケーションとメンタルケアについて講習を行いました。それぞれにこれまでとこれからと、さまざまな困難なときがあるけれど、それでも心身ともに健康に生きていくために自分や身近な人とできることは何か、実習を交えながら学びました。参加者からは「今すぐ使える方法を教えていただいたので、さっそく実践したい」「一人暮らしを始めると大変なことも増えてくるから、考え方も大切なんだと分かった」などのコメントがありました。

午後からは児童養護施設出身の大学生を講師に迎えて、進学について講習を行いました。この5年程で、児童養護施設からの大学等進学者が大きく増えてきました。しかし奨学金や経済的支援がまだ不充分ななか、どのようにしてそれぞれの進学に、そして卒業と就職につなげていくのか、卒業を控え就職も決まった大学生に、自身の経験を交え「社会的養護における進学」について語ってもらいました。「進学後の目標設定が中途半端だと必ず挫折する」「出身施設や職員との関係が支えになる」「施設児童向けの奨学制度はあるが人数に限りがあるので、この会場にいる参加者の間で競い合うような状況」といった、現在の状況について具体的な解説や、当事者ならではアドバイスがありました。

このテーマは参加者の中でも大きな関心があった内容で、感想にも「進学にあたっての金銭の問題には調べる機会がなかったのでよかった」「現実をつきつけられるし、未来を考えなければならない」「いろいろ調べて、自分でできることはきちんとやって、職員さんにも協力してもらって、不安を取り除けたらいい」などの、とても多くのコメントがありました。進学するためには想像よりも多くの費用がかかることが特に印象に残ったようでした。

次回は9月に人生設計を前提に金銭管理を学ぶファイナンスパークでの学習を行います。同じく里親家庭の高校生を対象に自立支援プログラムを行なっているNPOのアン基金プロジェクト、神奈川フォスターケアサポートプロジェクトと三団体合同で実施し、児童養護施設と里親家庭からの自立を控えた高校生、約60名が一同に集まります。生活技術の習得だけでなく、それぞれ支え合える仲間づくりの機会にもしてもらいたいと願っています。

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自立支援2013沖縄 修了式

3月22日に、沖縄県の児童養護施設 島添の丘にて行われた自立支援プログラムの今年度最終回と修了式が行われました。

今年度は高校生10名が参加し、年間3回のプログラムを通じて、社会的自立に向けた準備を行ってきました。最終回となる今回は、性と生について、色彩と心理について、ビジネスマナーについて、講習を行いました。

講習の後には修了式を行い、修了証の授与とともに、一人ずつがプログラムの感想や新生活への決意表明を発表しました。

島添の丘の子どもたちはこのプログラムだけでなく、行事や家事にもとても積極的に参加するそうです。この日も大人から何も指示されていないうちから会場を準備し、終わってからは会場の片づけを分担して行う様子が見られました。普段は縦割りのユニットでの生活で、高校生は年少の子たちのお世話をすることが多いため、このような高校生だけが集まり自分たちのためのプログラムが行われることは、楽しみで仕方ないということでした。プログラムの効果がより大きなものとして参加高校生に影響していると感じられました。

この沖縄の修了式をもって、全国で行われた今年度のプログラムはすべて修了となりました。ご支援ご協力いただきました皆様に御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

自立支援 2013神戸

3月21日(祝)に兵庫県の児童養護施設神戸少年の町にて、2013年度の自立支援プログラムの最終回が行われ、昨年8月から始まったプログラムも修了となりました。

神戸少年の町では、エンジェルサポートセンターと連携し、フィリップモリスジャパンの支援を得て、施設からの自立を控えた高校生や中学生を対象に、自立に向けての生活スキルについて学ぶプログラムを、2010年度から行っています。

今年度も14名の高校生がプログラムに参加し、自分自身の人生について準備を重ねてきました。最終回となる今回は卒業生が社会生活を送る自らの体験を話し、語り合うことで、共感し合いながら自立への心の準備を整えていく会となりました。