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日本児童養護実践学会での発表

2月9日(土)に日本児童養護実践学会第5回研究大会(帝京平成大学 池袋キャンパス)において、「自立支援における多方面連携」としてエンジェルサポートセンターの自立支援活動の実践について報告を行ないました。

プログラム実施の際の効果測定として用いている「自立度チェックリスト」の評価を基準に、プログラム実施の分類によってどのような違いが現れてくるのか数値測定をし、発表を行ないました。参加児童のためによりよい実施方法、プログラムの内容を検討する資料となるかと思います。
今後の展望として、地域のリソースを活用しつつ複数の施設が合同でプログラムを行っている「エンジェルサポート福島」の実施方式(「福島モデル」)の他地域での展開や、自立度チェックリストの活用についてもお話ししました。

昨年に引き続き今学会にて発表の機会をいただきましたが、現場の福祉職の皆様にご出席いただき、ご意見をいただけることはとても貴重な学びの機会であり、このような機会をいただき心より感謝いたします。

この成果を元に今後の活動へと反映させていき、これからもよりよい貢献をしてまいります。

青森県の児童養護施設へ

2月6日に青森県の児童養護施設あけぼの学園にて、自立支援プログラムの最終回講義と修了式が行われました。

エンジェルサポートセンターがあけぼの学園のプログラムを支援するのは今年で三年目となります。昨年秋から5回のシリーズで、高校生の参加者の皆さんが施設を出て一人暮らしを始めるための準備を続けてきました。

特に今回の参加者の中には、春から一人暮らしを始めるにあたり料理に不安がある子がいるとのことで、調理実習を複数回行ない重点的に学んできました。あけぼの学園のプログラムは毎年このように参加者一人ひとりに寄り添った内容で実施をしています。

最終回となる今回も調理実習を行ないました。栄養士の先生をはじめ職員の先生方がとても熱心に取り組んでいらっしゃり、献立の決め方や道具の使い方などをまとめた冊子を作成したり、一緒に手伝いながら料理を学んでています。この日は四品を作り、エンジェルサポートセンターからのスタッフも一緒にお昼をご馳走になりました。鮭のムニエルにスライスしたレモンを添えて見た目もとてもきれいです。

今年の卒業生は全員すでに就職が決まっており高校卒業の準備や運転免許取得など、新生活に向けて忙しくなる時期です。就職し一人暮らしが始まってからはもっと忙しく慌ただしい時期が続くでしょう。今回の実習のことを思い出して栄養管理には特に気をつけて続けてほしいと思います。この日のお料理はどれもとても美味しくできていました。

修了式では修了証の授与と、新生活に役立ててもらえるよう冷蔵庫や布団などの本人が選んだ生活用品と、ビジネススーツを贈りました。修了生の皆さんの努力の成果です。この経験が自信に繋がりこれからの人生が素敵な日々になることを心から願います。

自立支援プログラム修了式

昨年9月から始まった今年度の自立支援プログラムも、いよいよ最終回です。

最後のプログラムはオリンピックセンターでの宿泊研修を行ない、エンジェルサポートの18名の参加者と、神奈川フォスターケアサポートプロジェクトからの参加者9名とで、合計27名の高校生が集まり、1月26日と27日の二日間をかけて多くのことを学びました。

オリエンテーションでははじめに、「これまでは法律や金銭管理など、答えのあることを学んできましたが、今日と明日の研修では答えのないことをそれぞれ考えます。」と話がありました。二日間で行う様々なプログラムによって、気持ち、感情、夢、希望…それぞれの心の中にあることを、不安や悩みも含め、自分で認識し、言葉や表現にして伝え、共感し合うことを繰り返します。

一日目のプログラム
  • 気持ちのキセキ: 箱崎幸恵講師によるワークショップ
  • 先輩との対話: 里親・児童養護施設出身者と小グループで語り合います
  • 作文: プログラムを通じて感じたことや学んだことを文章に残します

進学や奨学金についての話題になると、まさに進路が決まる時期でしたので、選択が思った通りににはならなかった子や困難な思いをしていることを語る子もいました。ここ数年で社会的養護下からでも大学や専門学校へ進学を希望する児童が増加してきましたが、奨学金や生活費の支援はまだ限られており、今回の参加者の間でも施設や職員、里親さん、学校の情報や意識によって進路の方向性が決まったことを指摘する子が多くいました。また進学を果たしてもそれで終わりではなく、卒業して就職し生活を続けていくためには多くの試練があることも、みなそれぞれよくわかっていました。将来への不安や世の中の理不尽さを感じながら、それでもお互いの夢を語り合い、励まし合いました。

就寝時間を過ぎても談話室で頭をつき合わせて語り合う高校生たちの様子が見られました。

二日目のプログラム
  • ドリームツリー: 自分の将来の夢を明確にして実現に向かうワークショップ
  • 修了式: 修了証の授与、決意表明の発表
  • パーティ: 懇親の立食パーティ

修了式では参加者の皆さんの施設から施設長先生方、職員の皆様が大勢お越しいただき、また協賛いただいているフィリップモリスジャパン株式会社からも来賓の皆様がお見えになり、修了のお祝いを厳かに執り行いました。参加者全員が一人ずつ壇上にて修了証を授与され、プログラム修了のお祝いに本人が選んだ家電製品やビジネススーツが贈られました。壇上でそれぞれの進路や新生活についての決意表明を発表して、その堂々とした様子は、来賓の皆様からも「いつもの様子とまるで違う。大人になったなあ。」との声があったように、全員とても立派でした。

レセプションホールで立食パーティを行ない、美味しいご馳走をいただきながらお互いの交流を深め、それぞれの連絡先のやり取りをしたり、卒業後にも再会する約束を交わして、たくさんの参加者が時間が過ぎても会場に残っていました。

今年のプログラムにも多くの方のご支援ご協力をいただきまして、自立を迎える沢山の子にとっての成長の機会とすることができました。あらためて心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

参加者アンケートから

将来についてこんなに真剣に長く考える時間がなかったから

気持ちや自分のことなど答えのないことを知ることができた。

今まで何となくはわかっていたけど、本当に気づけなかったことに気づけたから

泊まりが楽しすぎる。みんなで深い話をたくさんして、すごく仲が深まった。ドリームツリーが楽しかった。ご飯がおいしかった。みんなとしゃべるのがとっても楽しかった✿

自立支援のプロジェクトに参加して学べた事 沢山あって本当に良かったです! ありがとうございました!!

 

修了式

悪質商法対策・契約

12月16日(日)に、今年4回目のエンジェルサポート自立支援プログラム「悪質商法対策・契約」の講習会を行ないました。

困ったときの社会資源として、午前は消費生活センターの講師から悪質商法対策について、午後は司法書士会の講師から契約について講義を受けました。午後の契約についての講習では、チーム対抗の法律クイズを行ない、熱心に議論をしながら取り組んでいました。(結果は両チーム全問正解)
また時期的に進路が決まった参加者もいて、アパートの契約や身分証明などについてメモをとりながら話を聞いている様子が見られました。

法律や制度の難しい内容でしたが、終了後のアンケートでは以下のようなコメントがありました。

  • とてもおもしろかったです。暇な時間がなかった。
  • 普段よくわからないで生活している事だったので、こういう場があってよかった。
  • 困ったときの連絡先を知れて良かった。

また司法書士の先生からの「親子といえど親の借金を子が支払う義務はない」という言葉に、「知らなかった。ほっとした。」と話した参加者もいました。

次回1月の宿泊研修で今年度プログラムも最終回となります。自分の気持ちを感じ、自信を持って、表現する、というテーマで二日間を過ごします。また一年間の修了式を行ない、ご支援いただいた皆様とともにパーティでお祝いをします。

ひとり暮らしの栄養と調理

11月25日(日)に、エンジェルサポート自立支援プログラム2012の今年度第3回プログラムとして、調理実習を行ない、栄養管理について学びました。

神奈川フォスターケアサポートプロジェクトの参加者とも合同で行い、参加者27名で習熟度ごとのグループに分かれ、同レベルの人達同士でそれぞれ分担しながら調理から片づけまでを行ないました。

今回は和食の献立にし、根菜を切って煮物、すり鉢を使って胡麻和えを作り、魚を焼いて、昼食としました。また栄養のバランスをとるコツや衛生について講義を受けました。

参加者へのアンケートでは、

  • 普段は料理をしないのでとても勉強になりました。
  • カレーやチャーハンなどはお手伝いとして作ったりするけど、今回のような和風料理はあまり作らないので、良い機会になりました。
  • 班のみんなと仲良くなってとても楽しかった。

といったコメントがありました。どのグループも助け合いながら美味しく作れていました。また時間どおりに片付けまで終えることができていました。

次回は12月に契約と悪質商法対策について学びます。11月になりそれぞれ進路や新生活が少しずつ決まってきて、参加者同士の話題や参加への真剣味も変わってきました。これからも充実したプログラムを続け、自立を支援していきます。