活動報告」カテゴリーアーカイブ

自立支援プログラム福島2016

2月25日(土)にエンジェルサポート福島自立支援プログラムの2016年度最終回が行われました。このプログラムは福島県内のすべての児童養護施設を対象に、自立を控えた高校生が集まって新生活に必要な知識を学び交流の機会にするために行われています。震災後の2012年度にエンジェルサポートセンターのプログラム協力と、フィリップモリスジャパンの助成によって支援が行われ、福島市内の児童養護施設三施設が事務局として実施を担当することで「エンジェルサポート福島」が始まりました。以来5年、毎年多くの高校生が学びの場としてきました。

今年も県内7施設から10名の男女が集まりました。雨の日も雪の積もった日も、会津やいわきなど遠方からでも毎回郡山の会場まで通ってきました。

この日は午前中に「お金の管理について」として、家計について実際に就職先の給与を想定した家計の計算を行い、それぞれ金銭管理のシミュレーションを行いました。人によって重視する費目は違いますが、何を工夫して節約するか、貯金はどれくらいしておきたいか、といった考えがそれぞれある様子が見られました。

昼食は毎回会場の近くにある蕎麦屋さんの座敷で好きなものを頼むことが定番になっています。今日も全員で長テーブルを囲んで、蕎麦や丼もの、デザートなども選んで食べていました。それぞれ別の施設から集まってきたメンバーですが、自分の趣味や興味のあることなど話がはずんでいる様子がとても楽しそうでした。

午後は、東京でシステム開発のお仕事をされている黒沢さんから、「社会人として大切なこと」と題して、社会生活を送るうえで知っておいたらよいことをお話ししていただきました。黒沢さんは福島の児童養護施設の出身で、ご自身の経験を元に次の世代の後輩たちに向けてこれまでのお仕事やご家族のお話などを伝えてくださいました。

最後に一年間のプログラムの最終回として修了式を行い、一人ひとりに修了証の授与と、フィリップモリスジャパンより冷蔵庫やビジネススーツなど本人の希望する新生活のための”ホープチェスト”プレゼントが贈られました。
修了生は全員の前でそれぞれ決意表明を行い、「進学するので絶対卒業する」「一年で資格をとる」など、達成したい目標を具体的に宣言しました。この決意表明は、明確な目標を人前で宣言するとより実現しやすくなるパブリックコミットメントの機会として行なっています。

彼らのそれぞれの目標の達成に向けて応援ができたことを嬉しく思いますとともに、多くの皆様のご支援があってプログラムが実現していることに心から感謝申し上げます。

 

自立支援プログラム岩手2016

2月16日(木)に、岩手県にてエンジェルサポート岩手自立支援プログラムの2016年度最終回と修了式が行われました。
今年度は県内の児童養護施設5施設から高校三年生17名が集まり、自立生活に向けての準備となるよう、さまざまな学びの機会としてきました。
この日は午前中に調理実習を行いました。グループに分かれてジャンボハンバーグやスープを作り、料理に慣れている参加者も慣れない参加者も、それぞれ役割分担をして調理に取り組みました。出来上がった料理はどれも美味しくできていて、皆で楽しくいただくことができました。

午後は岩手県立県民生活センターから講師をお招きし、契約や悪質商法、クレジットカードなどについての講義を行いました。
さらにジョブカフェいわてのキャリアカウンセラーからは働くうえで気をつけたい言葉遣いや電話の受け方、体調の悪いときの休み方などについて、実際に練習しながら知ることができました。

最後に今年度最終回として修了式を行い、一人ひとりに修了証の授与をし、お祝いとしてスーツや生活用品などの目録を贈呈しました。
修了した参加者は一人ずつ皆の前で新生活に向けて堂々と決意表明を行いました。それぞれの目標を宣言して、達成に向かうのための機会となりました。

普段はそれぞれの施設で生活をしてきた皆さんでしたが、短い間でも同じ目標に向けてともに理解し合える仲間と出会えたことは、これからの人生においても大切な思い出となるのではないでしょうか。多くの皆さんの新生活の始まりの一端を支えることができて心より嬉しく思います。

自立支援プログラム青森2016

2月10日、青森県の児童養護施設あけぼの学園にて、2016年度自立支援プログラムの最終回と修了式が行われました。

あけぼの学園では今年度5回のプログラムを行い、4人の高校三年生が自立に向けての準備を進めてきました。この日は学園長先生をはじめ職員の皆様と地域の里親さんにお手伝いをいただきながら調理実習を行ないました。

4人とも早くから進路を決定していて、3月の高校卒業後はそれぞれの道へ進むことが決まっています。料理の大切さはよく理解しているとのことで、参加者の中には毎日の暮らしの中で調理に触れることができるよう学園の調理場の手伝いをしていて、そのために必要な食品衛生の講習を受講してきた、という高校生もいました。

この日のメニューはごはんとみそ汁、焼き魚やおひたし、肉じゃが、玉子焼きといった和食と、カレーライスとサラダとスープの洋食の2種類の食事をそれぞれ分担して作りました。
普段から慣れている参加者も初めて知ることがあり、里親さん方も見本を見せながら丁寧に指導してくださったことで、それぞれ自分の担当の料理を完成させることができました。
作った料理は昼食として全員でいただきました。どれも上手にできあがっていて、おいしくいただきました。

片づけの後、一年間のプログラムを終えたことで修了式を行い、一人ずつ修了証を授与し、フィリップモリスジャパンの協賛とAOKIからのご協力をいただき、全員に新生活のために布団セットとビジネススーツのプレゼントが授与されました。またこの日の感想と今後の決意表明を宣言して一年間のプログラムがすべて終わりました。

青森県の卒業生は就職先が県外になることが多く、生活場所が出身施設からも遠方になるため、職員も出身者に会いに行く機会も頻繁にはむつかしいため、事前に多くの準備をしておきたいとの考えがあります。このエンジェルサポートでの講習が今回の四名やこれからの後輩の皆さんにとってのよい機会になることを期待しています。

わたしのみらい2016 プログラミング/キャリア学習

2月5日(日)に社会的養護からの自立支援のためのキャリア教育プログラム「わたしのみらい」の今年度第3回目のプログラムを行いました。今回もアクセンチュア株式会社を会場としてお借りしました。また講師・スタッフとして多くの社員の皆様にもご協力をいただきました。

参加者は東京や近県の児童養護施設や里親家庭で生活する高校生12名と職員4名の16名で行い、それぞれの自立に向けての準備の機会としました。今回の内容は職場見学、職業体験としてのプログラミング、そして公益社団法人ジュニア・アチーブメント日本のご協力で、自分の特性とキャリアを考える「キャッチ・ユア・ドリーム」ワークショップを行いました。

IDカードでゲートを開けて入館するようなビルの高層階にあるとてもきれいなオフィスで、プログラミングも未体験者がほとんどだったため、初めは緊張した表情でが多く見られましたが、プログラミング学習のツールがゲームプログラミングを通して学ぶことができたことや、参加者一人につきスタッフが一人以上ついて気さくに話をしてくれていたこともあり、次第にリラックスして会話も増えていくようすが見られました。

お昼は下北沢にあるかまいキッチンからケータリングを用意していただきました。調味料をあまり使わず特に砂糖を使わないで素材の味を活かす料理はどれもおいしく皆でいただきました。冬野菜のスープは食べてみて材料が何か考えてみてください、とのクイズには、その深い風味に高校生も大人も、ネギ、きのこ、カリフラワー、じゃがいも、など考えていましたが、正解は白菜でした。

午後は自分のライフプランを考える前に、周りの大人へのインタビューから始めました。今回は児童養護施設出身の先輩もスタッフとして参加していただきましたので、ご自身の高校時代のことからその後、現在に至るまで、お仕事や家族についてお話しをいただきました。参加者からも質問が多くあり、いずれも丁寧に回答をしていただきました。貴重な機会となったと思います。

大人へのインタビューと参加者同士のインタビューを通して様々な生き方を感じて、自分の興味や特技を振り返り、将来の目標設定と、何歳までに何をしていこうかというプランをそれぞれ立てていきました。頭の中の漠然とした夢だったものを、現実的なプランとして書き出し共有することは、夢を実現させるためにとても大切な経験になりました。

長い一日のプログラムでしたが、充実していたようで参加者は時間が過ぎてもいつまでも残っていてパートナースタッフと話し込んでいるようすが見られました。

参加者からのアンケートでは、

  • 今日の内容は自分の自立に向けて、役に立たないところがないと思った。
  • 自分の将来について深く考えさせられたと思う。
  • 卒業生の話が興味深かった。

など多くのコメントがありました。
また参加職員アンケートでも、

  • スタッフは率直にフレンドリーに意見を述べていて子どもに大きな刺激を与えていた。
  • 漠然とした将来のことを明確にさせるにはぴったりの企画。
  • 来年も一年成長した子どもを連れて参加したい。

との多くのコメントがありました。

好評をいただいた「わたしのみらい」はアクセンチュア株式会社のご支援により来年度の実施も計画しており、より多くの企業、分野での職場体験や職業体験ができることを企画しています。

多摩ユースサロン ボウリング大会/交流会

1月15日(日)に多摩ユースサロンの今年度3回目のイベント「ボウリング大会/交流会」を開催しました。

今回も三多摩児童養護施設協議会との連携で複数の児童養護施設が合同で行う出身者のサポート事業に、エンジェルサポートセンターは事務局として参加しました。

1月のサロンは、参加者のレクリエーションと交流を兼ねた、ボウリング大会と交流会とを行いました。三多摩地域の児童養護施設の出身者、職員、施設長、エンジェルのスタッフとで総勢37名が参加しました。

午後から会場の立川スターレーンに集合し、開会式、始球式のあと、参加者と職員とでレーンに分かれてボウリング大会を始めました。ひさしぶりにボウリングをする、という参加者も多いようでしたが、それぞれ楽しい時間を過ごしたようすでした。表彰式では2ゲームで304点を出した男性が優勝、3位までの商品とブービー賞、参加賞が全員に贈られました。

夜は交流会として、立川市のイタリアンレストラン、トスカーナにて、食事会を開催しました。20歳以上の参加者に限って、お酒と料理を楽しみながら、同じ施設の出身者ごとで集まって懐かしい話や今の生活の様子などを語り合う時間となりました。途中から自己紹介タイムとして、今の職業や最近気になっていることなどを全員の前で発表し、大いに盛り上がっていました。その後、自然に声をかけあって他の施設からの参加者同士で同じテーブルに集まってさまざまなことを語り合い、よい交流ができていたようでした。

終了後、参加者のみなさんから「二次会に行こう」と誘い合って、会場も探してきて、参加者、職員、施設長、スタッフの有志で二次会に向かいました。ここでもこの日に初めて会った同士で大いに盛り上がっていました。「またぜひやろう」「自分たちももっと関わりたい」「後輩たちも呼びたい」と積極的な声があり、今後の活動について考えるうえで参考になるものでした。

またこの日の参加者に実施したアンケートでも、「ひさしぶりにこういう遊びをした」「異なる施設出身者と関われてよかった」「施設出身者のそれぞれの生き方の話が聞けてよかった」という声が多くありました。一方で期待する支援として「生活が楽になるような支援を期待する」「住居支援、経済的支援」という声もあり、生活の苦労もうかがうことができました。

2016年度のユースサロンは今回で終了となりますが、2017年度の活動へも支援を継続していく計画です。