エンジェルサポートセンターでは、自立生活への スムーズな移行ができるよう、施設や里親家庭で生活をしている中学生、高校生に、自立支援プログラムを提供しています。
エンジェルサポートセンターの実施する自立支援プログラムは、1999年からアメリカで実施されている自立支援プログラムを参考に、日本での生活環境に適合した内容へ独自のアレンジをし、2003年から毎年、児童養護施設で生活する中学生、高校生を対象に行っています。
- 成長・自己実現
- 衣食住・社会生活
- 社会性・コミュニケーション
これらの習得を目標にしたトレーニングや、金融機関や市役所等の社会資源の知識、将来の目標を明確にする方法などについて、体験的に学びます。
プログラムの受講により、生活技術と知識の習得、自立に向けての意識付け、相談相手や仲間を得ることができ、自立に向けての準備を効果的に行います。
運営スタッフ
プログラムを主に運営するのは、児童養護施設の職員、元職員、心理職、教員など、児童に関わる専門性を持ったスタッフです。
また、栄養学、金融、ITなど、自立に向けて必要な技術の専門家も多く参加しています。いずれも児童への深い理解をもち、幸福で自立した社会生活を送ることを心から願い、ボランティアとして活動しています。
プログラム会場
プログラムは東京都立川市を活動拠点に、例年全6回程度、約半年の時間をかけて行います。
都内近郊の複数の施設から参加者が集まり、公共施設の会議室などを会場にしています。
プログラムのテーマによって、ハローワークや市役所、不動産業者など、実際の施設を訪問し、体験しながら学ぶ機会もあります。
仲間作りとネットワーク
近郊の複数の施設から、同じように生活する同世代の参加者が集うことで、新しい仲間作りの機会としています。
2009年度は関東近県の児童養護施設と里親家庭から中高生18名が参加し、全員が所定の課程を修了しました。
自立に向けての意識が高い参加者が集まることで、お互いに肯定的に影響し合いプログラムの効果を高めています。またプログラムを通じてそれぞれの想いや希望について認め合い、自分自身の価値を確かめることができるようになってきました。
自立度チェック
エンジェルサポートセンターの自立支援プログラムでは、アメリカでの各州政府が実施するプログラムを参考にし、日本独自のアレンジを加える許可を得て、プログラムに使用しています。
毎年の開始時と修了時に、自分がどの程度の自立に向けて成長ができているか、自立度の自己評価を行い数値化します。
例年、多くの参加者は開始時よりも修了時の評価に高いポイントをつけたことに気づき、自分や周囲の人とともに効果を確かめています。
ハンドブック
自立支援プログラム開始時からのトレーニングの内容や、生活に役立つ情報、心の健康の保ち方、公的機関の連絡先など、暮らしに役立つ情報をまとめ、2006年に独立行政法人福祉医療機構の助成を受け、一冊のテキストにすることができました。
このハンドブックを使用することで、プログラムでの講座の内容がより詳しくなり、また自立支援プログラム参加者にそれぞれ配布しているので、修了後も手元に置くことで情報源として活用することができるようになりました。
さらに2011年にはフィリップモリスジャパン株式会社の協賛と大日本印刷株式会社の協力を得られたことで、内容と装丁が一層充実した『エンジェルサポートハンドブック』を制作することができました。
社会的養護の児童の自立支援
2007年度からは、里親子支援活動を行うNPO法人里親子支援のアン基金プロジェクトとのコラボレーションにより、里親家庭で生活する高校生への自立支援プログラムも並行して実施していました。
2009年度プログラムでは、エンジェルサポートセンターとアン基金プロジェクトの合同プログラムを実施し、二回の合宿を含め半年間のプログラムを行うことで、それぞれの立場の参加者がお互いに影響し合い、より活発なプログラムと発展させることができました。
2011年度にはNPO法人神奈川フォスターケアサポートプロジェクトとの協力により、神奈川の里親家庭から高校生が参加しました。
ホープチェスト
ホープチェストとは、アメリカの家庭において赤ちゃんが生まれたとき、将来自立するときに向けて少しずつ揃えた、自立に必要なものを入れておく「つづら」のことを特別に呼びます。
いつか家から巣立つ子どもたちの未来のために、希望、願いをこめて用意するため、そう呼ばれています。
2008年度より、自立支援プログラムの実施にフィリップモリスジャパン株式会社による「PMJホープチェスト」基金からの助成をいただいております。これにより、プログラムの内容の一層の充実とともに、プログラムの修了生を対象にした自立に必要な物品のプレゼントが実現しました。
プログラムの修了生には、冷蔵庫や洗濯機、布団といった新品の家電製品や生活用品を、また施設を出て生活を始める高校3年生には、加えてビジネススーツが贈られました。
プログラムによる自身の成長だけでなく、生活用品のプレゼントによって、自立生活をスタートさせるにあたっての経済的な支援も行なっています。
全国の児童養護施設へ
これまでの児童への支援活動の多くは東京など大都市で集中していたことから、2010年度より、青森県、神戸市、福岡県の児童養護施設内で行う自立支援プログラムの共催を始めました。さらに2012年度には沖縄県、福島県でも開催、2013年度は岩手県、宮城県でもプログラムを開催し、2014年度は共催施設と団体を合わせて全国10箇所で開催、児童養護施設と里親家庭の高校生123名が自立に向けての学びの機会を得ることができました。