2018自立支援プログラム東京 調理実習/進学

9月30日(日)、台風が近づく東京で今年の自立支援プログラムの第一回を行いました。今回は立川市の女性総合センター・アイムにて、調理実習と進学についてのセッションを行いました。

今年度は17名の高校3年生が参加しています。この日は年間プログラムの初回でしたので初めにオリエンテーションを行い、講師スタッフ5名と施設職員3名も合わせて全員で自己紹介をしてから、今後の修了までの流れや説明を行いました。

プログラムの前半は料理についてです。講師から栄養や献立についての説明があり、早速グループ分けをしました。自己申告で料理が得意、普段からしている人、ほどほどする人、まったくしない人、までレベルを自分で決めてもらい、同じくらいのレベルの人同士でグループを組みます。そうしないと料理の得意な人がすべてやってしまうので練習にならないのです。
メニューは決まっておらずグループで相談して決めます。さらに材料は会場に準備された肉や野菜などの中から選んで「購入」し、予算内で完成させなくてはなりません。さらに各グループごとにくじ引きで引いた「スペシャル食材」を必ず使わなくてはいけません。これは冷蔵庫に残った消費期限の近い食材を想定しています。つまり普段の生活の中で毎日行う炊事と同じことをグループでやってもらおうということです。

それぞれスマートフォンを使ってレシピや分量を参照し、限られた材料と予算で何が作れるか相談しています。今日初めて会ったばかりですが相談しなくては食べられません。なかでも料理をまったくしないメンバーが集まったグループは「どうする」「どうする」と言い合い、講師のアドバイスを受けながら相談しています。しかもくじで引いたスペシャル食材はこんにゃくです。結局、野菜をたっぷり入れた豚汁を作ることになりました。講師やスタッフのサポートを受けながら、すべてのグループが予算内で食事を完成させていました。

出来上がった料理は味はそれぞれ色々な感想があったり、予算を使い切ろうとして多く作りすぎてしまったりしましたが、皆で楽しく食事をとることができました。食事をしながらの雑談の中で普段の生活や学校のこと、進路のことなど自然に話が出ていました。

児童養護施設で生活していることで食事についてメリットがあるのは、栄養士の皆さんが考えた食事を毎日食べていることです。この日もメインの肉料理の他に生野菜を添えたり、サラダやフルーツをつけたり、何も指示せずともすべてのグループで栄養のバランスのよいメニューにしようとしていました。毎日の食生活で自然と身についているということです。それとそれぞれ料理の腕はまちまちですが、片付けは全員が協力して手際よくあっという間に済ませていました。食器や鍋を洗い、元の場所に片付け、ごみの分別をしてテーブルや流しをきれいに拭く、そんなことを当たり前に分担している様子が見られました。身についた習慣はこれからの新しい生活でも役に立つことでしょう。

午後は進学についての話をしました。資料を見ながら、進学について何が大変なのか、どのような支援があるのか、先輩たちは何に困り、どう克服したのか。支援について知り、色々な人と相談しながら自分の目標に向かうことの大切さを伝えました。

この日は台風が近づくなかでの一日でしたので、予定よりも終了時刻を早めて解散としました。
参加者のコメントでは、

  • 決められた材料で料理をするのは難しいと思ったが、話し合ってそれぞれの知恵を知ることができてとてもよかった。
  • バランスの良い料理を考えるのはとても難しくて、良い経験でした。
  • 協力してみんなと作ることができた。楽しかったし笑えた。卒業するまでに一人でできるようにしたい。

と充実した様子が見られました。一方で、

  • 毎日考えて作っていくのは難しく大変。
  • 分量がわからなかった。
  • 食材の相場をあまり気にしたことがなかったのでもっと買い物をして知りたいと思った。

などのコメントもありました。進学についてはやはりお金のことがもっと知りたいようなので、次回以降、家計について学ぶ回にてあらためて考える機会としたいと思います。